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平成26年度 江戸糸あやつり人形遣い入門塾

授業日誌

平成25年度授業風景はこちらから

2015年1月12日 (月) 人形実技

本日は発表会に向けて基本のおさらいです。
バランスを崩さず立ち、前進、方向転換。
人形が見たい物に対してちゃんと視線が合っているか?正しい方向で手を指しているか? 今まで何度も繰り返した稽古ではありますが、ここをしっかり身につけないとお芝居ができません。

今回の卒業発表会の演目は「伽羅先代萩・御殿の場」とのことで、座る動作とお辞儀の動作を集中稽古!
なんと言っても「御殿の場」ですから、美しい所作でお芝居したいとみんなもやる気満々です!

さぁ、三月の発表会が楽しみになってきました!ファイトです!!

2015年1月17日 (土) 人形実技

今日は、卒業発表会で使う人形の衣装を着せる授業をしました。
自分の役の人形を自分で着せるとあって、皆さん熱心に取り組んでくださいました。
今回の演目は『伽羅先代萩・御殿の場』ですので、打ち掛けを着た人形がズラリと並んでいます。

"肩糸"と"まもりの糸"は少し難しいので、結城座の人があらかじめつけておきました。
塾生の皆さんは、"手の糸"、"肘の糸"からスタートです。
"手の糸"をつけるのは、以前、人形を遣う授業の合間にやった事があるので、皆さんとてもスムーズです。
"手の糸"、"肘の糸"の後は、"引き込みの糸"をつけました。
手を袖口から出したり、引っ込めたりする糸です。

さぁ、三月の発表会が楽しみになってきました!ファイトです!!

2015年1月19日 (月) 鳴物1

外部から先生方をお招きしての特別授業もいよいよ最後の授業となりました。
本日の講師は歌舞伎囃子方の田中傳次郎先生です。

今回は主に大太鼓を通して、歌舞伎の中で『自然の音』『時を知らせる音』『登場人物の心理描写』そして『妖怪の登場や超常現象』などを表現する音について教えて頂きます。

大太鼓で表現する音としてまず最初に教えて頂いた音は
『水の音』
ドンドンドン・・・と規則的に叩かれる太鼓の音ですが、先生は「常に+1を考える」そうです。
水音にどこを流れている川なのか、どんな時間に流れている川なのかという情景を+1、そして川辺を歩いている人はどんな心持で歩く人なのか、急ぐ侍か、酔った町民か、暗闇を歩く殺人者か・・・心理を+1。
そうして少しずつ『+1』を増やして行くそうです。

さて、皆さんも大太鼓を体験します。 思ったように撥が大太鼓に当たらない、先生のような大きな音が出ない・・・。
首をかしげる皆さんへの先生からのアドバイスは「場面を想像しましょう。これは想像力の世界です。」

今日はもうひとつ『風の音』を教わりました。
風の音と聞いて皆さんはどんな音を想像するでしょうか。
水音は撥一本でしたが、今度は2本使って、閉まりきらない木戸が風に吹かれて鳴る音を教わりました。
風が生み出す音を作ることによって風そのものをイメージさせる連想が面白いです。

木戸が風に怪しく不安げに吹かれ、忍んで来る泥棒の情景、風が強まり泥棒を追いかける男の心理、追いかけた男が泥棒に刺され、風がさらに激しくなります。やがて風音は速さを増し、捕り物の呼笛を聞いて慌てて逃げていく泥棒の情景・・・風音だけで様々な場を表現し、先生はあっという間に物語を作ってしまいました。

鳴物の授業は来週の月曜日に続きます。

2015年1月26日 (月) 鳴物2

先週の授業は先生による『風音』を聞いたところでお終いでした。
今日は、皆さんが撥を2本手にして『風音』を体験してみるところから始まります。

両手を使うとなると、利き手じゃない手を動かすということが案外難しく、 イメージトレーニング中…

先生のお手本を見たままやって見る事の難しさにいまさらながら気づかされます。
見た事と、自分が実際やって見る事との間に生まれるズレを埋めていく事が、表現を身につけていく、芸を身につけていくという事なのだそうです。

それ以外にもたくさんの音を教えていただきました。
鳴神のシーンでも使われいる『雨の音』
山から吹き降ろす風音『山おろしの音』
打ち寄せる波を表す『波音』
そして、撥を持ち替えて教えて頂いたのは『雪の音』
『雪音』の面白いところは、関東と関西で少し異なる音を使うところです。
関東のシンシンと降り注ぐ雪を表現する少しはやい速度の雪音に対し、関西は深い雪道を一歩一歩踏みしめていく情景を表現した重たい雪音を使うそうです。
関東の雪音は四十七士の討ち入りシーンに良く合い、関西の雪音は近松の心中物に良く合う音。
瀕死の鷺娘のシーンでは、関東と関西のちょうど中間のような速度の音が使われるというお話も伺えました。

知識が増えると歌舞伎の楽しみもどんどん深まっていきますね。


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