2015年7月11日(土)人形実技8・9回目 人形の重心
昨日から突然の晴れ、塾の始まる時間は丁度太陽の高い時間帯でしたので、
強い日差しを乗り越えて稽古場にいらした塾生の皆さんと、
お互い合い言葉のように「今日は暑いですね〜・・・。」と唱え合ってしまいました。
人形実技も今日で8回目。
手板の持ち方も、糸の場所もだんだん身に付き始めました。
つま先に付いている糸!・・・はい!
肘についている糸!・・・これだ!
腰の糸!・・・ここ、かな!
人形の糸を使う時、重要な事は人形の重心がどうなっているかという事です。
糸あやつり人形なので、糸を引っ張れば足はどこまでもあがります。
その時、人間なら軸足でしっかりと地面を踏みしめていないと、
すぐに転んでしまうはずなのですが、糸に吊られているあやつり人形は、
どんなに不自然な体勢になっても、ぶらぶら吊られていて転ぶ事はありません。
不自然に吊られた状態ではなく、人形にしっかりと重心を与えようと皆さん真剣な表情です。
さて、少しだけ脱線して、
今年度、皆さんがお稽古に使っているお人形たちをちょこっとご紹介です。
洋服の人形もいれば着物の人形もいます。
洋服の人形たちもよくみるとそれぞれ時代が違いそうですし、
着物もそれぞれ職業や身分がバラバラそうです。
ただ、ひとつだけ共通している所は、全員【男の人形】という所です。
古典の【女の人形】はしなやかな所作を表現するため、
少し特殊な作りになっているので、基本のお稽古は【男の人形】を使います。
こうして見ていると、人形と手板を繋ぐ糸の長さ、それも一体、一体違いますね。
それはそのまま、人形を使う方たちの身長の違いです。
人形たちを眺めているだけで塾生の皆さんの個性がまたひとつ、浮かび上がってくるようです。
人形と人形を使う人間の関係は本当に微妙なもので、
使う人間の身体の癖や体調がそのまま人形に表れます。
肩に力が入りやすい、膝に力が入りやすい、重心を片足に置きがちなど、
誰にだってある無意識の癖を、人形を見ながら、自分で感じながら、講師に教えて貰いながら、
より客観的でバランスの良い姿勢に調整していきます。
人形が美しく立つ時、
人形を使う人間の姿も美しいのです。
それではまた月曜日!