ファンの皆様へ
大反響にお応えして特設ページを作りました!
2020年2月、連日大入りの大好評となった、
結城座の古典の代表作の二本立て公演
「東海道中膝栗毛」通称「弥次喜多」、
「本朝廿四孝」についてご紹介します。
こちらの公演は以下を三本柱とし、
現在まで伝統を継承してきた結城座ならではの内容となっています。
① 次世代を担う若手人形遣いを大役に抜擢、ベテランとともに挑む文化継承
② 新内のホープ多賀太夫による生の弾き語りにのせて
③ 江戸糸あやつり人形とデジタル映像の融合
公演詳細
東海道中膝栗毛 ~赤坂並木から卵塔場まで~
十返舎一九作の大ベストセラーであり、江戸時代、庶民に大流行した本作。名コンビの弥次さん喜多さんは現代でもテレビや演劇で親しまれていますが、結城座でも代表的演目の一つとして長きに渡り愛されています。
2020年2月、十二代目結城孫三郎の構成により、十二代目と元十一代目(田中純)が、若手人形遣い結城数馬、生の新内弾き語りと共に20年ぶりに復活上演を行い、古典ファンはもちろん、馴染みのない方も誰もが親しみ、楽しめる古典として連日大入りの大好評となりました。
若手ながら受賞歴多数で邦楽の世界を牽引する新内多賀太夫による生の新内の語りとの掛け合いは、江戸当時の上演スタイルを復活させたもので、生ならではの息の合った人形との共演は観客の気持ちも反映し、舞台をどんどん盛り上げていきます。
新たな試みとしては、劇中の背景に映像を投影し、人形・新内・映像の3つの相乗効果で観客を世界に引き込みます。物語のはじまる直前には広重の「東海道五十三次」の全ての浮世絵(東京学芸大学の特別協力によるご提供)を弥次さん喜多さんの足取りを辿るように順に舞台背景に投影し、より江戸の世界観を楽しむことができるよう工夫を凝らした構成となっています。
古い伝統と新しい手法の融合がお互いを高め合う、長く伝統を伝承してきた結城座ならではの上演内容です。
《あらすじ》
江戸をヒョンなことから食いつめた弥次郎兵衛と喜多八は、上方に向かって呑気な旅を続けている。
赤坂並木(東海道五十三次の36番目の宿場「赤坂宿」/現在の愛知県豊川市赤坂町)を通りかかると、酒徳利を下げた子供が通る。これを一つ目小僧と間違えて、こらしめようと打ち叩いていると、その親爺が現れ「わが子に何をしやがる」と弥次郎兵衛の首をしめ、弥次郎兵衛は気絶をしてしまう。
息を吹き返した弥次郎兵衛は自分が死んだと思い、嘆き悲しむのであった。
軽妙洒脱な新内節にのせて、江戸糸あやつり人形の繊細な技、江戸前な丁々発止な台詞のかけあい、仕掛けモノ等の江戸の粋が合い混じり、結城座を代表する古典演目の一つとなっています。
今でも親しみやすい江戸の市井の様子、江戸庶民の生活風俗がかれており、江戸文化を象徴する名作です。
本朝廿四孝 奥庭狐火の段
八重垣姫の情熱的な恋心を描いた「奥庭狐火の段」を上演いたします。八重垣姫はお姫様役の中でも「三姫」の一つに数えられる大役であり、結城座では代々の孫三郎の代表作となっています。ことに難しい役とされる女形 八重垣姫の一途な女心を、孫三郎が魅せます。
両演目は共に古典でありながら、立役(男形)と華麗な女形、世話物(江戸時代の庶民の話題を扱ったもの)と時代物(江戸時代の庶民の日常から離れた、遠い過去や武家などのに関連した出来事を扱ったもの)といった、全く異なる雰囲気を持っています。対照的な演目の上演を通じて、従来古典になじみの薄かった観客層、とりわけ若年層へ訴求し、江戸文化や江戸糸あやつり人形への理解と関心を深め、より楽しんでいただける構成になっています。
《あらすじ》
上杉家の息女・八重垣姫と武田家の子息・勝頼は将軍の認める許嫁の仲であった。
ところが将軍が暗殺され、両家に疑いがかかり勝頼は切腹を命じられる。悲しみに暮れる八重垣姫だったが、実は死んだのは勝頼ではないことを知る。本物の勝頼は、武田家の秘宝の兜を取り戻すため、花作りとして上杉家に奉公していたのだ。
しかし父謙信も勝頼の正体を見抜き、暗殺の刺客を送る。それを知った八重垣姫は勝頼に危急を知らせる為、諏訪明神法性の兜にお祈りをする。兜に憑いている狐の霊が八重垣姫に乗り移ると、氷の張り詰めた諏訪湖を渡り、勝頼に急を知らせる。
劇評
2020年 2月公演(東京・ザムザ阿佐谷にて)の反響
公明新聞 劇評 2020年2月21日 掲載
お客様の声
- 糸あやつり人形という日本の古典芸能は「保存」されるものではなく、日々進化していく芸術。その意味でも素晴らしい舞台だった。
- 八重垣姫が着物の袖を持っておよよと泣いたりする所作は女性らしく楚々として。振袖なのに、上に着ている着物を、ちゃんと自分で脱いじゃうんですよ。嘘でしょ!どうなってるの?イリュージョン!
- 弥次喜多では浮世絵を映写する演出がありました。江戸糸あやつり人形は、古くて新しい!
- 弥次さんのゆうれい踊り、人形が本当に踊っていて心底驚いた。床が新内というのも艶やかでとても洒落ている。
- 人形の愉快な動きを楽しみながら、操り師の発する言葉が人形が喋っているように聞こえることに驚いた。何かテクニックがあるのだろうか。
- 格別なる日本芸術が、大勢の人々の心の癒しになることを切に願っています。385年世襲を受け継いでいることにも感動。
- 八重垣姫は可憐で美しく、弥次喜多には大笑い。 江戸時代にタイムスリップしたような愉しさ。