380年以上の歴史を持つ、国記録選択無形文化財及び東京都無形文化財である江戸糸あやつり人形の結城座が、その技法、表現力を駆使して、現代演劇を代表する劇作家・演出家である鄭義信の書き下ろし作品を上演。本作は鄭義信の得意とする、戦時下においてもたくましくもエネルギーに満ちた庶民の笑い哀しみが描かれており、クライマックスには劇的な演出で、観客を驚嘆と感動へと誘いました。
また、主人公の人形遣い役を実際の人形遣いが演じ、人間と人形が交錯する構造・演出は演劇ファン、人形劇ファン両者からの支持を得ました。
今、世界のあらゆる地域で紛争が起きています。そこで犠牲になるのは子供たちと抵抗すべき術をもたない人々です。破壊された町、破壊される人格、そこからは未来も夢も生まれません。
再演に際して、12代目結城孫三郎はこう言っております「もし世界が平和でなくなろうとしているならば、演劇人はそれを感じ、それを表現しなくてはならないんだ!」
初演から10年、2017年1月、結城座は満を持して再演を決定致しました。
少年幸太は「ドールズタウン」で母と二人、周りの貧しくも暖かい人々に囲まれ、たくましく生きていた。佐藤昭二と名乗る魚、おもちゃのラッパで登場を知らせるうめとみつるの姉弟。金髪の真理子。錆びた鉄橋の下にある「ドールタウン」は幸太のかけがえのない故郷だった。そこに戦争の手が迫り、幸太の母や、町の人々はみんな死んでしまう。町は廃墟と化し、家も未来も失った幸太の行く末は・・・